隣国の脅威が叫ばれるここ最近、特に注目を集めているのが「地政学」と呼ばれる学問です。
地政学とは、地理的な要因が国の政治や軍事・経済などに与える影響を考察していく学問のことです。
地政学を学ぶことは、国際情勢を把握して有事に備えることにつながるため、誰しもが取り組むべき学問といえます。
今回は、そんな地政学について例を挙げて解説するとともに、初学者におすすめしたい地政学を詳しく学べる本を3冊紹介します。
そもそも地政学とは何か
地政学とは、冒頭でも述べた通り、地理的要因が国の政治や軍事・経済などに与える影響を考察する学問のことです。
もっと簡単に言うと、世界を一つの巨大な街に見立て、以下のような構造を想定しながら自国の安全や発展を考えていく学問のことです。
- 自分の家:自国
- お隣さん:隣国
- 交通網:海
- 遠くの家:自国から距離のある国
他国と貿易する時、軍事行動を取る時、人々が旅行を楽しむ時など、人間がグローバルに行動を起こす際に無視できないのが地理および空間です。
そのため、世界の地理や空間を把握してその影響を分析する地政学が国際情勢を読み解く鍵となるのです。
地政学について、まだ小難しいイメージがあるかもしれませんので、長らく問題となっている北方領土問題を例にとって解説してみます。
地政学的観点から北方領土問題を読み解く
北方領土はロシアにより事実上の支配を受けており、日本への返還の目途は未だに立っていません。
なぜロシアは北方領土を返還しないのか。一つの説として、北方領土にアメリカの軍事基地を置かれる国防上のリスクを軽減したいことが挙げられます。
北方領土にアメリカの基地があることは、ロシアにとって首元に銃を突き付けられているのと同じ状態というわけです。
逆に言うと、仮に北方領土が日本の領土となると、日本の対ロシア向けの国防力が増し、安全保障上有利になります。
そのため、北方領土問題は必要または不要と簡単に結論付けられるものではなく、国家の存続にかかわる重大な問題なのです。
このように、地政学の観点から各国の行動を考察することで、国際社会はどのように動き、それがどのような結果が招くのかを事前に予測できるのです。
こういった予測は国家単位でなく個人にとっても役立ちます。投資家であれば、将来の株価をより正確に予想できるようになるでしょうし、旅人であれば、軍事衝突を予想することで海外旅行を取りやめ、命が救われるかもしれません。
地政学には、国民を戦争に扇動するように悪用された過去があります。そのようなことなどを踏まえ、日本の教育においては地政学をほとんど教えない方針となっています。
しかしながら、地政学は本来は誰しもが学ぶべきであり、突き詰めると非常に奥深く楽しい学問なのです。
初学者におすすめの地政学を学べる本3選
前章で、地政学は学校で学ぶ機会があまりないにもかかわらず、非常に重要な学問であることをご理解いただけたかと思います。
以下より、地政学を楽しく学べる本を3冊厳選して紹介します。
これから地政学を学んでみたい初学者の方に特におすすめです。
サクッとわかるビジネス教養 地政学
価格 | 1,320円 |
著者 | 奥山真司 |
出版社 | 新星出版社 |
発行部数20万以上のベストセラーとなっている地政学の王道本です。
著者の奥山真司先生は、防衛省の幹部候補生にも講義を行っている地政学の専門家で、本書でも国防のプロの視点から地政学の根本を分かりやすく解説されています。
また本書はイラストでの解説がメインになっており、イラストとその周辺の文字少々を読むだけで、世界情勢がつかめる仕掛けとなっています。
チョークポイント、シーパワー・ランドパワーなど地政学の基本的な概念が漏れなく解説されているため、他人に説明ができるくらいの知識をつけられるでしょう。
手軽に地政学について知りたい初学者に特におすすめの一冊です。
13歳からの地政学 カイゾクとの地球儀航海
価格 | 1,650円 |
著者 | 田中孝幸 |
出版社 | 東洋経済新報社 |
タイトルの通り、13歳の中学生でも地政学を分かりやすく学べる一冊です。
高校生・中学生の兄妹と年齢不詳の男「カイゾク」との会話形式で解説がされており、登場人物とともに理解を深めていくことができます。
前駐米大使の方からは「かなりの外交の専門家が読んでも読み応えのある内容を、極めてわかりやすく書いている。」と評価されるなど、国際情勢に詳しい方のお墨付きです。
なぜアメリカは最強なのか、なぜアフリカには豊かになれない国があるのか、なぜ日本は英語を苦手とする人が多いのか、誰もがよく抱く疑問を地政学の観点から丁寧に解説してくれています。
13歳の方に限らず地政学に興味のある方は是非購読してみて下さい。
90枚のイラストで 世界がわかる はじめての地政学
価格 | 1,540円 |
著者 | いつかやる社長 |
出版社 | 飛鳥新社 |
累計再生回数1億回超えを誇る歴史系YouTubeチャンネル「非株式会社いつかやる」のメンバーである「いつかやる社長」が書いた一冊です。
「いま世界で起こっていること」「これからの世界と日本はどうなるか」が、90枚のイラストと各国を例えたポップな動物の絵を用いてわかりやすくまとめられています。
また、全トピックについて2ページで簡潔にまとめられているため、余計なノイズなく要点を捉えることができます。
2022年11月現在で最も新しい情報が詰め込まれているため、ウクライナ侵攻や台湾問題などの世界情勢を最新の視点から詳しく知ることができるのもメリットです。
特に分かりやすさを重視している方は是非購読してみて下さい。
まとめ
今回は、地政学の概要および初学者でも分かりやすく学べる地政学の本3冊について解説・紹介しました。
地政学の観点から各国の行動を考察することで、国際社会はどのように動き、それがどのような結果が招くのかを事前に予測できます。
そして割り出した予測は、国家および個人の安全を確保するうえで重要な役割を果たします。
普段あまり勉強をしていない方や、勉強があまり好きではない方も、自分や大切な家族・仲間を守る意味で地政学を学んでみて下さい。
そして、日本および世界の平和が実現することを管理人は切に願っています。
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